「ンダスケェ!なんくるないさ。」 VOL.2  2006年二月 その8

 そうこうしているうちに、親族の方々がぱらぱらとやって来ました。一同、待ち合わせて一度にどっとていうんじゃなくて、ぱらぱらと、ばらばらに来たんですよ。八時はちょっと過ぎていたと思いますよ、全員がそろったのは。
で、
 「おっ!」 
と、気づいたんですがね、席順なんですがね、こう、びしっと決まっていたんですね。
僕の対面、つまり一番の上座にね、最年長の叔父さん、その隣がその叔父さんのすぐ年下の叔父さん、その隣がまたその下の叔父さん、その隣が嫁に行った伯母の旦那さん、その隣がその奥さんである最も年長の伯母さん、・・・・と言った具合にピシッと座ったんですよ。
誰もね、
 「兄貴がそこに座れよ。」とか、
 「お前はここで、あっ、伯父さんはそこ、姉さんは・・・・」
とか言った会話は全くなし。
ばらばらにぱらぱらって来て、きちっと座った。
こういうのを見るってのは(?)気持ちがいいですね。
こう、びしっとね、それぞれの立場がはっきりしていて、それぞれがてめぇの分際をわきまえってるって言うですかね、
 「おみごと!」
ってね、感じ入っちゃいましたよ。
でね、ここまでビシッと決まっている人たちだ、酒呑み始めて陽気になったって、こうビシッとしているんじゃないか?、そう思えてきたら、今夜はどんな事があったって呑まれちゃいかん、呑まれちまって羽目ぇはずしちまって、しくじりやらかしたら、息子はこれから先、ずうっと肩身の狭い思いをしなくちゃなんなくなっちまう。
そう思ったら、せっかくリラックスした気持ちがね、また緊張し始めてね、意識が下腹部に行きだしたんですよ。

   (つづく)