「キャンプの1日」

 今回は、「キャンプの1日」を話しましょう。

 Am.4時頃、起床。
 夜が明ける前です。空も白んでいません。無論、自発的に覚醒するわけではありません。
 <Sundancer Swet!>の、アラーム男(インディアン)の大声で、否応無しに目覚めてしまいます。これが3分間隔ぐらいに、4・5回、叫ばれます。
1・2回目ぐらいは、 「もう朝なの、眠いなあ」ぐらいに思うのですが、これが4・5回目あたりになると、 「クソッ!アラーム野郎のクソッタレ!何を考えてんだ。出来そこないの、くたばりぞこないのクソ目!」などと、呪いの言葉を小声で呟き、狭い寝袋の中で寝返りなんかをうつのです。
でも、まだ、寝袋を這い出す時間ではありません。
この後、20分ほど、静寂が訪れます。すうっと眠りに入ったとたん、今度は、 「シーダーマン、スウぇット!」の大声、やはり4・5回、3分間隔で。5回目あたりの「シーダーマン、スウェット!」を聞きながら、背伸びをしつつ、今度は、 「チキショウ!クソッタレ、何時だと思ってんだ!」と、普通の大きさの声(いくら日本語でも、大きな声を出すほどの勇気はありません)で、しかも英語ではなく、日本語で悪態をつきつつおきるのであります。

  Am7時頃、朝食。
 朝一のダンスは、6時頃から始まります。
サンダンスソングとドラムをBGMに、7時頃に朝食を取ります。
クルー全員(僕を含めて4名)が同時に食事できるのはこのときだけです。お茶など飲みながら、クルーと雑談が出来る楽しい一時です。
 1ラウンド目のダンスが終わりますと、患者の第一陣が来ます。だいたい、3・4名です。
 この第一陣が終わる頃、あるいは終了後、5・6分後ぐらいに第二陣がやって来ます。5・6名から7・8名の場合がほとんどです。そして第三陣、3・4名といった具合に続きます。不思議とこんなパターンが続きます。
第三陣が終わるのが、PM1時頃、クルーは昼食の準備を始めます。
これも不思議なんですが、第三陣の後は、かならず(一時ですが)患者が途切れます。
この間に、昼食を取るのですが、決まって、食事をし始めると患者が現れます。
2・3人の事もありますが、だいたいは一人でやって来ます。
これも不思議なんですが、夕方6時頃までは、一人でやってくるのがほとんどです。
しかも、一人が終えて、5・6分すると現われます。
ですから、昼食を取れればラッキー、食べられないのがほとんどでした。

  Pm6時頃。
 その日のダンスが終了するのがこの頃です。と、同時にドワッと患者がやって来ます。本当に、ドワッとやって来ます。12、3人から15、6人ぐらいがドワッとです。暑さと、だらだら続く患者と、睡眠不足からボーっとしていた我がクルーが、俄然はりきりだす時間帯です。

 Pm9時頃。
 この時間になると、暗くなり始めます。あの日中の暑さ(40度前後)が嘘のように、スウーッと涼しくなります。それから30分もすると、Tシャツ一枚では寒いほどになります。
そして、スウェットを済ましたサンダンサー達がやって来ます。二人、三人と連れ合ってきます。7、8人程治療しますが、日ごろの怠惰な生活からくる筋肉痛が、ほとんどです。なかには、軽い熱射病による頭痛や吐き気、また、夏風邪なんかもやって来ます。

  Pm11時30分頃。
 ダンサーの治療が終える時間です。
一服していると、ダンサーたちがくる前に治療にあぶれた患者が二人、あるいは三人ぐらいやって来ます。最後のダンサーが帰ってから3、4分するとやって来ます。ダンサーの治療が終るまで待つのではなく、ダンサーが帰ったのを見計らったように3、4分してからやって来ます。この後に治療する患者もやはりそうです。ポツン、ポツンと、間をあけてやって来ます。疲れた身には、このポツン、ポツンがこたえます。ストレス最高潮といったところです。

  Am0時過ぎ頃。
 お茶と軽い食事をとります。クルーは既に夕食は済ましています。日中に治療した患者の治療法などの質問に答えたりする時間でもあります。
安らぎと安心の一時です。クルーの一人がインディアンフルートを奏でます(これは傍迷惑です。でも、黙って、吹かせます)。

  Am1時、ちょっと前頃。
 テントに帰り就寝。
  Good night Baby.(続く)
by Dr.Bear