薬師岳発登山 その6
1.10.昼食: 玄米おにぎり二個、野菜汁一椀、ゆで卵一個、フルーツゼリー二個、チョコレート、煎餅。
この野菜汁は、デラが山頂で作ってくれたものです。我ら四人分の食料、それに燃料とその器具を担いでくれた彼には頭が下がりました。あいにくの雪模様の天気で冷えかけていた身体には本当にありがたい野菜汁でした。それにしても、あっと言う間に鍋汁を作った彼の手際の良さと、それを上手にこなしてしまうのには驚きました。一般的に山男というのは、これほどまめに動くものなんでしょうか。
1.30. 下山スタート。下山には、早池峰の北側のふもとにあるタイマグラ村で暮らす井上さんが加わりました。
4.30. 小田越に到着。無事下山。
5.05. 早池峰神社に無事下山できたことのお礼の挨拶。
7.20. 夕食: 居酒屋で打ち上げ。 生ビール中3杯、梅干しチュウハイ2、日本酒半合、さめの心臓の刺し身、寿司、つぶ貝の串焼き、・・・ etc.
10.15. 帰宅。そして缶ビール1缶。
11.00.ごろ 就寝。
本日の自家栽培食物: なし。
================================================================
薬師岳発登山 その5
PM.1.05. 山頂に到達。
山頂は六畳ぐらいの広さで、中ぶりから大ぶりの岩がごろごろしていました。雪混じりの風が顔面にあたって痛いこともあったんだろうけど、1600m程度の山と言う意識があったからかも知れないんだけど、やったあっと言う感激はあまり感じませんでした。
「無事登れて良かったわい。」と言う、ほっとした気持ちが強かったです。
山頂での記念撮影、薬師岳の権現様(とても小さなものでした)に挨拶を済ませ、そこでカップ麺を食べていた青年に四人の記念撮影を頼み、山頂近くのなだらかな山道で、底だけが風をよける場所まで戻り昼食を摂ることにしました。
昼食の場の設定が済んでから、汗をたっぷり吸い込んだコットン製のロンTとフラノ地のワークシャツを、やはりコットン製のTシャツとトレーナー、その上に一枚物のジャケットに着換えました。とっても寒くてやりきれないってほどの事はなかったのですが、義姉のアドバイスを取り入れなかったことを反省するくらいに、着換えを済ませた後の身体はぽかぽかと温かく感じました。
この義姉の言う肌に直接触れる着衣は化学繊維製品が良いというのは、昼食中の雑談の中で、オヨネも同じことを言いました。オヨネは登山時は下着までも化学繊維の物を着用するとも話してくれました。
この話しは、化学繊維の肌触りがどうたらこうたらとけちを突け、登山前日に購入した化学繊維のロンTを着なかった僕の甘ったれた気持ちを、大いに反省させてくれました。
さらに、それに輪をかけてプッシュしたのがデラの語りでした。
「八甲田山で遭難した日本陸軍の事件でね、一人だけ生き残った兵卒が身につけていたのが河川の下着だったんですよ」。
ここまで知ってしまい、また体験してしまいましては、河川のTシャツぐらいは着るしかありません。ちなみに僕と寿々子さんは、登山翌日に化学繊維のロンTを近くの大型スポーツ店で、さらにもう一枚購入したんです。(素直さが足りないんですよ、僕達は。)
(つづく)
================================================================
薬師岳発登山 その4
薬師岳登山道には幾つかのルートがある
ようです。僕達が歩いたルートは最も緩やかなルートだそうです。そのルートの全行程の八割程度が岩場です。この岩場の岩ですが、大人の胴体ぐらいの大きさの岩が小ぶりの部類に入り、1m以上の高さがあり両手を使って這い登るような岩が大きめです。片足を引っ掛けて、露払のオヨネに手を引っ張り揚げてもらうような岩が中ぶりです。この様な岩場の両横からは雑木の枝やら根が突き出ています。それらに脛をぶつけたり、中ぶりから大ぶりの岩に膝蹴りをくらわせたりしながら登ります。
途中には鉄製のはしごもあります。台風で倒れた木材の下を匍匐前進するようなところもあります。泥道でぬかるんでいるところもあります。右手に持ったスキーのストックを改造した白杖が、地面に突き刺さってしまい片手では抜けなくなったりすることもありました。
手、足、肘、膝、全身を使って登ります。だから、息がはあはあするくらいなんですが、とっても楽しいんです。保育園児になった様な気分で登れます。それは、山歩きをする人口が増えているのが理解出来るくらいに楽しいんです。
この日の空模様は、秋から冬に現れる全ての天候ガ一日の内に現れたと呼べるほどの変化にとんだ空模様でした。
デラの運転で一路薬師だけを目指しているときは真っ青な秋晴れでした。
早池峰神社についた頃から曇り空になりまして、小田越の登山口についた時にはぱらりぱらりと小雨が落ちてきました。
木道を渡り登山を開始した頃には雷の音も聞こえ、小雨模様になっていました。それから強い風が拭き、太陽が顔を出したり、強めの雨が降り出し、それがひょうかあられかになったりして、頂上に着く頃には雪になったりしました。
登山行程のどの辺りか記憶していませんが、早池峰山の情報と思しき辺りに虹も見えたそうです。
この虹の自然現象ですが、スピリチュアルヒーラーに言わせますと、 「それは早池峰の神様が、『約束どおり、剣を渡しましたぞ。』と、あなた方にサインを送ったのよ。」と言うことだそうです。
(つづく)
================================================================
=============================================
薬師岳発登山 その3
10.05. 小田越の薬師岳登山口からスタート。
とっかかりは幅30cm、長さ30mほどの木道でした。ラフではあるけどちょっとした平均台の上を歩く気分で難なく乗り切りました。こんなものかいななんて甘く考えたのもつかの間、20mも歩かないうちに、きつい上り坂の急勾配が現れました。しかも木の根っこが張り出した、段差もまちまち、幅もまちまちと言う階段状の勾配でした。
このでたらめな木の根の階段もどきを、左手で前を歩くオヨネの腰にくくりつけたベルトから引いた白杖の先端を掴み、右手ではスキーのストックを白杖に改造したものをつきつきして僕達は薬師岳登山を開始したんです。
ここで僕達の編隊を紹介しましょう。
露払はオヨネです。先ほども書きましたが、彼女の腰にはチェッデバラのベルトをまわしてあります。オヨネはスリムなボディの持ち主です。だから、チェッデバラのベルトは緩々(ゆるゆる)です。オヨネの腰で踊り、舞っています。そのベルトには、僕の折りたたみ式の白杖のグリップから出ている、リング状になっている極太のゴム製紐を通してあります。この折りたたみ式の白杖は110cmです。
で、二番手の僕は、この白杖の先端、オヨネからいえば最も後にある部分を左手で持ちます。二番手の僕の右手にはスキーで使うストックを改造した白杖を持ち、これで足下を確認しながらあるきます。この確認の仕方なんですが、街場で歩く時のような上品な杖の突きかたではありません。足下周囲の左右上下をぶったたきながら確認するんです。岩場を歩きますので、金属製の白杖が岩と衝突するんです。ガチン、ガチンと耳障りなほどうるさい音を立てて登ります。
三番手はデラです。彼は舵取りです。僕の後について、
「右足を大きく出して、岩にかけて。」
「木の根の階段が続きます。でこぼこ。足下に気をつけて。」
「岩の間をすり抜けて。いや、両手で岩を確認して」
「大きな岩です。よじ登りましょう。」
「右に曲がって。」
・・・・etc.
「あっ、オヨネさん、速い。もっとゆっくり。」なんてのもありました。
しんがりは寿々子さん。彼女も口には出しませんでしたが、はらはらしながらしんがりを勤めていたと思います。
(つづく)
================================================================
================================================================
薬師岳発登山 その2
早池峰神社には初めての参詣
でした。
僕はそれほど多くの神社仏閣に参詣してはいないんで、大法螺に聞こえるかもしれませんが、これほど気持ちの良いスポットに出会ったことがないと感じられるほど、聖らかな気の場がそこにはありました。
これほど強い聖らかなスピリチュアルを感じさせる偉大な早池峰の神から、これほどでたらめな(我侭、自分勝手、懲りない無理性)人生をつづけている僕なんかが、本当に三種の神器の一つである剣を、何も考えもせず、諸手を揚げて喜んで戴いてよいんだろうか?早池峰の神がなされることでしょうから間違いはないと思うんですが、早池峰神社が感じさせる強い聖気に僕は悩まずにはいられませんでした。
(つづく)
=============================================
================================
薬師岳初登山 その1
3-23. 6勝5敗0分(9勝21敗0分)
8勝【88勝】 15敗【271】 0分【6分】)
AM.4.28. 覚醒するも起床できず、20分ほどまどろむ。
4.50. 起床。いつもの様に手洗い、洗顔、口を漱いだ後、神棚の水を取り換え、八百万の大神様、産土(うぶすな)の大神様、薬師如来様に挨拶をし、PC雑務処理。
6.15. 朝風呂。今日は僕にとっての聖地の一つである薬師岳に登ることを考え、いつもの朝の入浴とは違うんだ、精霊に会う前の沐浴の意味があるんだと自分に言いきかせる。
7.10. 朝食: 玄米おにぎり一戸、豚汁一椀、ゆで卵一個、コーヒー。
7.50. 一緒に薬師岳に登ってくれるオヨネが車で迎いにくる。
そして、もう一人の一緒に登ってくれるデラの家に向かう。
8.10. デラの車に乗り換え、一路薬師岳に向かってスタート。
薬師岳に向かう半分ぐらいにある集落に薬師堂がありました。薬師岳に登るんだから挨拶をするべきだと、みんなの意見が一致したので立ち寄りました。
このお堂には七つの薬師如来像が祭って在りました。
そして(これにはとても興味をひかれましたが)このお堂の裏手に藤原経清(つねきよ)の母のお墓がありました。
次に、これから登山する薬師岳の隣の早池峰山のふもとの集落にある早池峰神社に立ち寄り、これから聖地(いわば精霊の頭の上である)に登らせてもらう挨拶をする。
ただ僕には、薬師岳登山の挨拶ばかりでなく、もう一つの目的がありました。それは、僕達家族のスピリチュアルヒーラーが伝えてくれた、早池峰の神からのプレゼントを戴く為の挨拶もあったのです。
まあ、結構気持ち良く、スピリチュアルな気分に浸りつつあった訳ですが、そんな嘘っぽい僕のスピリチュアルな気分を笑い飛ばすかのような妙に明るく甲高い女性の声で、
「センセイ!せんせい?先生!」と近づいた車の中から叫ぶが如く呼びかける声がするではありませんか。それは聞き覚えのある声でした。それもそのはず、彼女達三人は皆、僕の治療院をこよなく愛してくれている患者さんでした。彼女達のこの様な行為も「追っかけ」と呼ばれる種類のものなんでしょうか?
(つづく)