「笑ってよ!アリゾナ」

  プロローグ
 ボディガードマン、兼ドライバーの佐野の肩車で、数千年前に、岩に刻まれたというホぴの予言を、私は読んでいた。
鼻孔がつんと痛くなり、目頭が熱くなってきた。
 「まずい、泣きそうだ。」と思った。と、同時に涙があふれた。
止まらない。
下唇を思いっきり噛んだ。
が、顎ががくがくして力がはいらない。
声をだして泣きたいのをこらえるせいか、涙はますますあふれて止まらない。
 「我慢、やめよう。泣いちゃえ!」
最高だ、涙も気持ちがいい。

  1
 1987年2月、私は一枚のチラシを手にした。
それは、映画「ホぴの予言」の、東京での上映会の案内だった。
そう、私のアリゾナ、インディアンリザベイションへの道はここから始まったのだった。
                       by Dr.Bear