2009年度逆児治療結果報告

 謹啓。いわしな治療院を御利用してくださる皆様におかれましては、恙無く御過ごしのことと存知申し上げます。
アンケートご協力、真にありがとうございました。
 さて、皆様に御協力戴いた「逆児・アンケート」の集計を、大変遅くなりましたが、まとめる事が出来ましたので、御報告いたします。
残念ながら、逆児が正常位に戻らなかった方には、お詫びの申しようもありませんが、神秘的な力を有する鍼灸術といえども、神業ではないのでありまして、私の力が及ばなかった事を深くお詫び申し上げます。
 しかしながら、皆様が協力して下さったアンケート結果を綿密に検討すれば、逆児治療の治癒率の向上に役立つものになることと確信しています。また、当院をご利用くださった皆様に対しても、技術の向上の一助にしなければならないと、決意を新たにした次第ですので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
 それにしても、昨年度の治療成績は過去二番目に悪いものでした。
逆児治癒率70%を割ったのは、二度目のことです。
この結果には何かしらの原因があるはずですから、これから分析して、その原因を発見できればと考えています。
 ところで、その後、お子様達は健やかに成長しておられるでしょうか。私を含め、鍼灸業界の宣伝努力不足のため、お母様方は御存じないと思いますが、乳幼児のための鍼灸治療と言う分野があります。これも、やはり3000年以上の歴史があります。乳幼児は日々成長をするため、神経が高ぶりやすいものです。そのため、夜鳴き、むずがり、吐乳、軽い感冒、便秘・・・・、数え上げたらきりがないほどの症状を表します。この様な、わざわざお医者様を受診するほどのものでもない症状に、鍼灸は有効な療法です。関西地方では、「小児むしばり」とか、「ちりげのやいと」などと呼ばれ、乳幼児の健康維持の為のものとして大変ポピュラーなものです。
御子様の健やかな成長のために、一度受療される事をお勧めします。
 盛岡で暮らした33年間で、経験したことの無い猛暑の夏が、まるで嘘のように思えるこのごろです。あの猛暑の夏を無事やり過ごした体をいたわり、これからむかう盛岡の冬の為に、健康にご留意され、お子様共々お暮らし下さい。
                         合掌三拝
平成22年 10月吉日
いわしな治療院
岩品 安柳

2009年度逆児治療結果報告

来院総数  87
回答数  51 (59%)

治らなかった  16  (31%)
治った  35 (69%)

 (逆児発見から何週目で施灸を開始したか)
1週以内 総数17. 33% 
【不治癒】 3  (19%)   【治癒】 14 (40%)
2週以内  総数 9.  18%
【不治癒】 1  (6%)    【治癒】 8  (23%)
3週以内 総数 10. 20%
【不治癒】 3  (19%)    【治癒】 7  (20%)
4週以内 総数 5. 10%
【不治癒】 3  (19%)    【治癒】 5(14%)
1ヶ月以上 総数 6.  12%
【不治癒】 6  (38%)    【治癒】 2  (6%)

 * 逆児が発見されて三週以上経過してから施灸開始したもののうち81%が不治癒である。
それにくらべ、三週間以内に施灸を開始したものは83%が治癒している。
 このことは、施灸開始は逆児発見から、遅くても三週間以内にやるべきことを現していると思われる。
 ただし、逆児発見から三週間以内に施灸を開始したものの19%が不治癒である。これは、逆児治療に対するいっそうの研究が要求される数値であると考える。

  (既往歴)
経産婦 総数 20 39%
【不治癒】 3  (15%)   【治癒】 17  (85%)

アレルギー  総数17  33%
【不治癒】 5(29%)   【治癒】 12  (71%)

冷え症  総数 20  39%
【不治癒】 7(44%)    【治癒】 13(65%)

 * 経産婦で逆児が治らなかった者は15%である。例年の9%に比べ
6ポイントも多い。2009年度の治癒率の低さの一原因であろう。

  (脈象)
【不治癒】
左側充実  3  (19%)
沈  5  (31%)
軟  1  (6%)
緊  0  
【治癒】
左側充実  8  (23%)
沈  5  (14%)
軟  5  (14%)
緊  1  (3%)

 * 逆児が治らなかったものの中で沈脈を呈するものが31%、左側の脈が充実しているものが19%である。
成功したものを見ると、沈脈を呈するものは14%、左側脈が充実しているものが23%である。
 総体的に妊婦の脈象は浮、数で、右側脈が充実しているものである。この点から、沈脈を呈するものは治りにくい傾向があると考えて良いと思われる。

   (治療経穴)
右三陰交・右至陰 総数30  59%
【不治癒】 10 (33%)  【治癒】 20  「67%
右三陰交・右異説至陰  総数 8  16%
【不治癒】 3  (38%)   【治癒】 5  (63%)
右三陰交・左至陰 総数4  (8%)
【不治癒】 1  (25%)   【治癒】 3 (75%)
右三陰交・左異説至陰 総数1  (2%)
【不治癒】 0   【治癒】 1  (100%)
左三陰交・右至陰 総数 7  (14%)
【不治癒】 2  (29%)   【治癒】 5  (71%)
左三陰交・右異説至陰 総数 0
左三陰交・左至陰 総数 1  2%
【不治癒】 0   【治癒】 1  (100%)
左三陰交・左異説至陰 総数 1  2%
【不治癒】 0  【治癒】 1  (100%)

脈診で治療穴を決定  総数 13  25%
【不治癒】  3  23%  【治癒】   10  77% 

(銀が適応金属) 総数 2  4%
【不治癒】   銀 0  【治癒】   銀2  (100%)

(  【性別)
【不治癒】 男  4 女 11  解答なし  1
【治癒】 男  12 女  21 解答なし  3

逆児は治ったが帝王切開  6  (17%)