こんな大雪で、仙台空港は大丈夫かなと不安な気持ちで乗った新幹線が、北上市を過ぎる頃から車窓に早春の陽光がさし始め、仙台駅に降り立ったときは盛岡の降雪が嘘みたいな気がするくらいだった。
ジェットは定刻どおり仙台空港を離陸し、那覇空港に、5分遅れで着陸した。
そして、やっぱ、
那覇は今日も雨だった
でした。
そして、やっぱ、出迎えた息子のファッションは着物だったけど、ロン毛がショート毛・クールカットになっていた。
ショート毛・クールカットに着物といういでたちの息子が運転する車が名護市に近づくにつれ、僕の心の中で表現のしようの無い不安な気持ちが大きくなっていった。
それは、今夜予定されている息子の彼女の一族との食事会である。
数年前、NHKで放映された朝ドラ、
「ちゅらさん」
で、何度も出てきた、家庭での宴会シーンを記憶していたからだ。
あわもり(クースー)をがんがん呑んで、
挨拶の口上を堂々とぶち、
さんしんひいて、歌って踊って夜通し騒ぐ。
あれは、ドラマ。フィクションだ。
あそこまでガンガン呑まんだろう、
あんなにかっこいい口上を決めないだろう、
あれほど歌もうまくはないだろう、
さんしんだって、
踊りだって、
「あれは、ドラマじゃん。あんなにぴたって決まるわけないじゃん。」
と思えば、大きくなる不安を防止できるのだが、
「でもよ、南国人って明るいからな、『夜通しガンガン』ってのは有り得るかな?」
なんて考えるものだから、大きくなる不安を防止することは出来なかった。
(つづく)