前回は、月の満ち欠けと鍼灸の治療法について話しましたが、やや専門的になりまして、 「よく解らない」と言う声が多く寄せられました。(残念なことですが、プロの鍼灸師からも言われました)
そこで今回は、一般peopleにも解り易く解説してみたいと思います。
『月、満ればシャを、月、欠くれば補を行うべし』の、下りから話しを進めます。
「月、満(みつ)れば」
これは夜空に浮かぶ月が、新月(闇夜)の翌日から満月に向かって、日々大きくなっていく期間(14日間)を言っているのです。
この時は、月のエネルギーが日毎に増強していく状態であります。
「月、欠くれば」
これは夜空に浮かぶ月が、満月の翌日から日々小さくなっていく期間(14日間)を言っているのです。
この時は、月のエネルギーが日毎に減少していく状態です。
「シャ」と「補」
これは治療上のテクニックです。
「シャ」とは、体内で暴れているエネルギー(頭痛がしたり、熱が出たり、腹が痛んだり、咳が出たり等々の病気状態)を、体外にもらしてやる、鍼術の方法です。
「補」とは、体内のエネルギーが不足している時(エネルギー不足でも、エネルギーが、体内で暴れまわっているのと同様の症状が現われます)に、それを補ってやる、治療上の鍼術の方法です。
つまり、
「月、満ればシャを」とは、新月の翌日から満月にかけての期間に、決まって体
調を崩してしまう(病気をおこす)のは、月のエネルギーが日毎に強くなっていく
のを人体が感受して、人体のエネルギーが強くなりすぎ、その強くなったエネル
ギーが体内で暴れまわっているのであるから、その暴れまわっているエネルギー
を体外に放出する鍼術で治療しなさいと言うことなのです。
つぎに、
「月、欠くれば補を」ですが、
これは、満月の翌日から新月までの期間に、決まって体調を崩してしまう(病気をおこす)のは、月のエネルギーが日毎に減少していくのを人体が感受して、人体のエネルギーも日毎に減少して、病状が現われている状態なのだから、不足しているエネルギーを補強する鍼術で治療しなさいと言うことなのです。
東洋医学(特に鍼灸医学)では、
「人は、自然界のあらゆる現象と関わりあって生きている」と言う、根本思想がありますが、この、 「月、満ればシャを、月、欠くれば補を行うべし」の下りは、自然現象と病人との関わりを考慮した治療法の代表的なものの一つと言えるでしょう。
月の満欠けと病気との関連性を考慮しない治療家と、関連性を考慮して鍼術を行う治療家とでは、それこそ「月とすっぽん」ほどの差があると言えるかな?(あ・は・は・は)
by Dr.Bear